嫌われた監督~落合博満は中日をどう変えたのか 読後感想はくろしお往復が一瞬


「嫌われた監督~落合博満は中日をどう変えたのか」
アマゾンベストセラーがなんぼのもんじゃい、感で買ったものの本の分厚さに読む機会がなく、天王寺から紀伊田辺間往復4時間で読もうと思い念のため手塚先生の「アドルフに告ぐ(これもミステリーが深い)」ももっていざ田辺でお仕事してきたのですが、この本は今年2021年では最高峰の読み応えと面白さで、元々落合監督は超高評価で落合関連著書は結構読んでるものなので、その事実や結果を知っている前提なことが面白さの要因になってるのはわかっているのですが。

それよりも著書の鈴木忠平さんの取材力、編集力、洞察力、思考力、分析力にヒアリング力など全てにおいての力が結集している作品であって、これがスポーツノンフィクション雑誌number=文藝春秋の本気だと、こんな風に思います。個人的にスポーツノンフィクション雑誌number大好き人間なことを引いても、スポーツに関わる人すべてに極上の本だと思います。

「オレ竜」とメディアに叩かれようとも落合さんが率いた中日は本当に強かったし、山井投手の完全試合を岩瀬にバトンタッチした日本シリーズの裏事情などこれも本当に深い。1つ言えるのは落合監督はデータと経験と選手への配慮を含めチームを強くした事実で、選手でも凄かったことと監督でも凄かった、これに尽きます。
また、チームを強くする、と言ってもチームは組織であり、スタメンを外された選手には不満な感情が渦巻きますし、理不尽を受け入れる人間性がないものも多数いますが、説明をせず気付かせることや、理解されない「言葉」を極力やめて、行動と結果だけで生き抜き数字を残してきた落合さんの凄さは普通でないと感じます。スポーツという分野でなく、人間論でありマネジメント論にすごく通じます、落合監督の言葉として多々惹かれる言葉がありますが、

・おれは好き嫌いで選手は使わない。結果で判断するから。(控えに回した選手に一言)
・ここからずっと見てるとわかるんだ。三遊間がどんどん抜けていくようになってきたんだ。(立浪から森野へ世代交代時)

くろしお往復の4時間が一瞬でした。

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