フォントで有名なモリサワ様に見学行ってきた

株式会社モリサワとは?

モリサワロゴ

皆さんは「株式会社モリサワ」をご存知でしょうか。知っていても知らなくても、絶対にどこかでお世話になっています。こちらをご覧下さい。

大国町駅の標識

こちらに書かれている文字に、このモリサワさんで作られた「新ゴ」というフォントを使用しています。この新ゴは線の太さが均一で、電車の中や遠くからでも見えやすいように作られています。
モリサワさんは主にこういったフォント開発、参考書などページが多い冊子のための組版ソフトの開発・販売など、いろいろなことをしています。

モリサワさんの社訓は

「文字を通じて社会に貢献する。人々は古来より言葉を話し、文字を使うことによって、自分が得た知識や考えを共有してきました。時間や場所を超える情報の伝達手段として、文字は常に強い力を持っています。歴史上の人物が、多くの人々が、なにを考え、なにを伝えたいと思っていたのか。文字はそれを知り得る貴重な存在です。モリサワは、文字のありかたを、文字の未来をみつめ続け、つくり続けていきます。」(HPより引用)

http://www.morisawa.co.jp/about/vision/

です。モリサワさんのフォントがなければ、駅名は読みづらく、おいおい説明しますがMacintoshも日本で流通していなかったかもしれないのです。今回私MとF、社長の3人で、モリサワさんからユーザーサポート部部長さんと共にモリサワさんのショールーム見学に行ってきました。

【エントランス~1Fフロア】

壁

椅子

入り口から入ると「字」の形の椅子。光る壁にはモリサワの代表的な14書体で書かれた漢字一覧。あふれ出る“フォントの会社”感!いやもうほんとすごい。私はフォントが好きで、学校での制作物で小塚明朝、小塚ゴシックを手がけた小塚昌彦さんを題材にしたものを作ったり、今現在フォントを使ったとあることをしようとしているほど。パッと見ただけでフォントを当てるなどのことは数種類しかできませんが。

常用漢字とは

ところで常用漢字とは。「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」、つまり日常生活で使われる主な文字です。現在常用漢字は2136字(2017年10月現在)もあります。けれど、「どこで使うねん!?」みたいな漢字もそれはそれはたくさんあります。何かの拍子にそれを使ったとき、自分の端末や環境、使用しているフォントでは見えるけれども違う端末で見ると文字化けしている、表示されない…。そういったことを防ぐのがJIS漢字コードと呼ばれるものです。常用漢字やその他使用頻度が高い漢字を第1水準漢字と呼び、第2、第3と続いていきます。

また、写真植字機(以下写植機)がずらっと並べられてありました。写植機は、木や金属で型を取ったものに塗料をつけ、紙に印刷していた活版印刷とは違い、写真技術を利用した写植用の機械です。写植文字板と呼ばれる板(下画像)に下から光を当て、レンズで文字の大きさを調整し、写真を撮って現像すると文字が打ち込まれているというのが写植です。
私は普段IllustratorやPhotoshopでは「級」と「歯」を使うのですが、「歯」が写植機の歯車から来ていることを聞いて驚きました。また、写植機は完全に廃れてしまったわけではなく、一部の判子屋さんなどではまだ使われているところもあるそうです。実際使っているところを見てみたいです。

歯車

これが1Fのエントランスです。見所がありすぎてわくわくしすぎて口角が上がりっぱなしでした。
次はメインの5Fショールーム!

【5Fフロア・ショールーム】

エレベーターを降り、ショールームの目の前に到着。そこで階数表示を見たFが一言。
F「え、めっちゃ可愛い!影になってる!」

階数表示

おお。確かに影になっている。
部長さん「これは廣村正彰さんがデザインしたものなんですよ」
私の勉強不足でそのときはピンと来なかったのですが、後々調べてみたらこの人のデザイン全てがシンプルに可愛くて、無駄なものがないデザインでした。

そしてショールームに入ると最初に見えるのは小塚昌彦さん。いつもお世話になっています。ということで中に入ります。

写植機コーナー

写植機、創業者の銅像、ショーケース

荷物を置いて始めに案内してくれたのは写植の歴史がわかる一室(?)。戦後すぐの写植機から版下などを見せていただきました。
ここで驚いた点は2点。1つは、電算写植機がすごいということと、2つめはMacintoshとの関係。

キーボード

1つめの電算写植機とはどういうものなのかといいますと、「一寸の巾(いっすんのはば)」と呼ばれる配置に従って現代のキーボードのように漢字が並べられてあり、それを打つことで写植するというものです。電算での入力には、配置を覚えていると読めない語句などがあっても絶対に打てるというメリットがあります。電算の達人になると、現在キーボードで打つのが世界一早い人よりも早く打てるということに驚きました。また、それまでの写植機はモニターというものがなく、しかも現像するまで完成形が見えなかったため、頭の中に全て設計図があったそうです。しかも打つのに失敗してもBack SpaceキーやDeleteキーがないため消せないそう。ですが、電算にはモニターがあるので、画面で確認しながら打つことができるようになりました。革新的です。

Mac

2つめはモリサワさんがもしAppleと提携していなければ、今のモリサワさんはなかったかもしれないということです。Macintosh SEができた頃、英語のみで日本向けではありませんでした。当時無名だったAppleの声を、創業者の森澤信夫さんが聞き入れ、日本でMacintoshが流行しました。
Macはそれさえあれば文章、画像も扱えて印刷までできる、それまでとは全く違った新しいものでした。DTP(DeskTop Publishing:机上の印刷物)という言葉はここから出来たそうです。

タッチパネル式年表

タッチパネル

日本の出来事と、そのときにできたフォントを並べた年表がありました。しかもタッチパネル。フォントをタッチすると、詳細が出てきます。私はそこで「光朝(こうちょう)」を見つけ、とても可愛かったのでいつか何かで使おうと決めました。

世界の言語とフォントパネル

世界地図

奥に進むと世界地図に「日本へようこそ!」という意味の各国の言葉が書かれていました。外字フォントまで作っているとはさすがです…!
中国の簡体字のお話をしていただいたのですが、なぜ日本で簡体字が流行らないんだろうと思っていましたが、漢字しかない中国ならではだったと知りました。
その目の前には色々なフォントを色々な文で書いている可動式パネルがありました。

パネル

「ええやん…」
とこっそり心の中で思っていました。そこにも色んなフォントと、モリサワフォントが使われているパッケージや本など、色々なものがショーケースに並んでいました。

文字の成り立ち

漢字圏の文字と書物

アルファベット圏の文字と書物

それまで真っ白な部屋だったのが、このコーナーだけ同じ部屋だと思えないほど博物館感が出ていました。ほとんど本物の歴史的価値のあるものがズラッと並んでいて、終始鳥肌が立っていました。これは一見の価値ありまくりです…。
あと本木昌造のコーナー。とてもいいです。この頃からテンションが上がりすぎて語彙力がなくなってきました。

ウィリアム・モリス

ウィリアム・モリス

ウィリアム・モリスはイギリスの産業革命の時代に生きていた、画家兼詩人兼デザイナーと多岐にわたる分野で活躍した人です。産業革命といえば質より量の時代だったので、ウィリアムは美しいものを作りました。ウィリアムの作った「チョーサー著作集」は世界三大美書と呼ばれるそうで、これも本物がモリサワさんにあります。きちんと豚の毛皮の毛穴まで見えました。

百万塔陀羅尼

百万塔陀羅尼

この百万塔陀羅尼というのは元は本当に100万個あったようで、それが窃盗や火災などで現在は法隆寺に4万個と、あと個人や博物館が所有している分しかないそう。もちろんモリサワさんにあるものはきちんと証明書付きの本物です。

タイポグラフィックデザイン

室内には1台だけiMacが置かれてありました。何かな~とずっと気になっていました。そのMacには「LOFT」のロゴデザインをした田中一光さんのポスターなどが入っていて、選択すると前のモニターに大きく表示されるというものでした。色々見てみたかったのですが、時間がなくて見ることができませんでした。

Lylic Speaker

Lylic Speaker

1Fにもあって、実はずっと気になっていました。スマホとこのスピーカーをWi-Fiで接続し、CDなど正規の音源で、データベースに歌詞が入っている曲を流すと、曲に合わせてランダムな演出とリズムに合った歌詞が出てくる、すごいスピーカーでした。なぜモリサワさんに置いてあるのかというと、このスピーカーで流れる日本語フォント7種がモリサワさんのフォントらしいのです。とてもかっこよくて、私もFも欲しい欲しいとずっと言っていました。

自由行動

モリサワフォント使用例

モリサワフォント使用例

一通り部長さんに解説していただいたあと、自由時間をもらいました。といってもあまり時間がなかったのですが、説明してもらったときにもっと見たいと思ったところを見ていました。
社長「Mさん。もうそろそろ・・・。」
ああああああ(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)
時間は非情です。名残惜しくも去りました。

【最後に・まとめ】

1Fまで降り、記念に、と3人の写真を撮っていただきました。満面の笑みです。
最初から最後まで丁寧に解説、案内してくれた部長さんとさようならをし、モリサワさんを出ました。そして写真担当のFに社長が一言。
社長「Fさん、外観の写真撮った?」
F「あっ」
角度や写りにこだわり、撮ったのがこちら。

株式会社モリサワ

株式会社モリサワ

今回レポートにまとめたこと以上に実際はもっと詳しいお話を伺っています。
また、本来なら4,5時間かかるというショールーム見学なのですが、こちらの都合で1,2時間にしていただいたので、さらに詳しく聞けることでしょう。
また今度、時間のあるときに個人でゆっくり見学できたらなと考えています。

株式会社モリサワさん!この度は見学させていただきありがとうございました!
大変貴重な体験をすることができ、たくさん勉強させていただきました。
改めて、ふところが少し広かったり横線が少し太かったりなど、どんな小さい変化でも表情が変わるのがフォントの面白さだと思いました。
写植のことも、自分なりに調べてはいましたが、やっぱり実物は見たこともなかったので本当に嬉しかったです。
これからもモリサワさんのフォントを使っていきます!