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「中小企業は攻め続けるしかない」USJを救った森岡毅氏の戦略

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【1】研修生企画の格言集

研修生企画:防人の歌っぽいものも含んだ格言集

クレアネットには研修生やインターンなどが来るので、来た際には いろんなサイトを作る作る楽しみをしってもらおうと、そういった企画を組みます。内容はほぼおまかせで クリエイティブな発想を思う存分発揮してもらおうというものです。今回もできました、研修生企画の格言集。

研修生企画:防人の歌っぽいものも含んだ格言集

イラストなんかかわいく書いてもらったり、勝手にスクロールする プログラミングなんかも実習生が行うのですが、発揮されますね やっぱり「おもろい」部分を持ってくる、これがやっぱりあるのと ないのでは違ってきます。
そういうわけで完成プロトタイプを見せてもらって 「だれやねん!」と思わず言葉が出たわけです、おかんやん。社長のおかん。

【2】WEBマーケティング4コマ漫画

WEBマーケティング4コマ漫画毎週1回金曜日更新中です。

>>第124話 「伝わる」デザインとは
>>第123話  もうすぐハロウィン

【3】「中小企業は攻め続けるしかない」USJを救った森岡毅氏の戦略

ちょっと前のハロウィンの話です。クレアネットでもハロウィン盛り上げてました、ハロウィン。
>> クレアネットフェイスブック

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ハロウィン

10月31日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の夜間イベント 「ハロウィーン・ホラー・ナイト」で、ゾンビに扮した一般参加者約2000人 が一斉に踊るゾンビ・モブが行われ、大盛況でした。また、7月15日に新しくオープンした人気映画ハリーポッターの エリアも大好評で、8月の入場者数が、開業した2001年8月の 132万人を超え、過去最高の133万人を達成しました。

そして10月の入場者数は146万人となり、3ヶ月連続で単月の 最高記録を更新したそうです。

他にもUSJは「ハローキティ」など映画以外の人気キャラクター のコンテンツや、人気ゲーム「モンスターハンター」とのコラボ、 人気アニメ「ワンピース」のショーを展開し、今後も人気アニメ 「進撃の巨人」や「エヴァンゲリオン」とのコラボも 予定されています。
それまでのUSJでは考えられなかったような斬新なアイディア でテコ入れが行われた現在のUSJに対して、開催した当時から のファンの中には、
『USJは大人向けの、映画をテーマにしたテーマパークのはず』
『今のUSJは迷走している』
という人もいます。

しかし、これは迷走ではありません。

USJを「感動を届けるブランドのセレクトショップ」にする ための戦略として、そうしたくてそうしているだけなのです。
今回のメルマガは、赤字に悩んでいたUSJをV字回復させた、 USJのCMO(チーフマーケティングオフィサー)の森岡毅氏の話 を取り上げたいと思います。

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■赤字に苦しんでいたUSJとテーマパークの特徴

USJの入場者数は、開業した2001年の1100万人をピークに尻 すぼみになり、2009年には700万人台まで落ち込みました。
そして借入金による重い金利負担により、開業以来ずっと 赤字が続いていたのです。

USJをはじめとするテーマパーク業界の実態はどういうものでしょうか。実はこの業界の約半分は、東京ディズニーリゾートを運営 しているオリエンタルランド1社によって占められているのです。

テーマパークには、
「装置産業で固定費率が高い」「損益分岐点を超えると利益は一気に拡大する」という特徴があります。

「ディズニーランドは夢の国」という強烈なこだわりを持ち、 毎年数百億円にのぼる大規模投資を行い、顧客を満足させ魅了させ続けるオリエンタルランドのような戦略は、損益分岐点を 大きく上回る売上高を維持できているからこそできる芸当なのです。

一方、ほとんどのテーマパークは初期投資の負担が重く のしかかるため、黒字になるまでに廃れてしまいます。アメリカのユニバーサル社とは資本関係の一切ない、 日本の単一企業でしかないUSJも、例外ではありませんでした。

■こだわりを捨てたCMOの森岡毅氏

そのUSJを救ったのが、2010年にCMOとして入社した森岡毅氏です。
実際にUSJを歩いて回った森岡毅氏が感じたのは「方向性の 間違ったこだわり」だったそうです。

例えばUSJでは、時間と金をかけてショーで使われる海賊船に 古びたように見せる塗装を行っていたのですが、ゲストからは 「ボロボロで汚い」と不評だったそうです。

「USJは大人向けのテーマパークなのですよ、USJはリアリティを追求しているのですよ」と胸を張ったところで、ゲストが満足しなければ、確かに何の意味もありませんよね。
また「USJは映画のテーマパークである」というUSJ側のこだわり やブランド戦略も、間違っていると判断しました。
なぜなら、映画が大好きだからUSJにも何度も足を運んでいる ようなゲストは市場に十分な人数がおらず、映画専門のままでは収益を確保できないからです。

エンターテインメントは映画だけではない、感動するのは映画 だけではない、エンターテインメントの原点である「感動」にこだわってブランドを作りたい、と考えた彼は、こうしてUSJを 「映画の専門店」から「最高の感動を届けるブランドを世界中 から集めたセレクトショップ」にすると決めたそうです。

■大好評の「The Wizarding World of Harry Potter」

USJは2014年に、約450億円を投じて人気映画ハリー ポッターエリア「The Wizarding World of Harry Potter」 を新設しました。
東京ドームのグラウンド約3個分という大きな敷地に、映画の 世界観を忠実に再現した城と街を作り、ショップやレストランと2つのライドアトラクションを作りました。

ハリーポッターシリーズの美術監督、スチュワート・クレイグ が細部まで監修し、そして最後にハリーポッターの原作者 であるJ・K・ローリングが監修しました。
映画に出てくる「ホグワーツ城」は太陽の当たる角度まで 計算されていて、日の出と日の入の太陽の光が城の陰影を美しく浮かび上がらせるそうです。

城の内部も映画の世界観通りに精巧に作られていて、 ゲストを退屈させません。
ダンブルドアの校長室や、動く肖像画の回廊を見て ビックリという人も多いでしょう。
ちなみに、ハリーポッターの物語に出てくる「バタービール」 も飲むことができます。

原作者J・K・ローリングが実際にレシピを開発したそうです。 (子供も飲めるようにノンアルコール)
日本中だけでなく、アジアや世界からもハリーポッター ファンが押しかけています。


■大反対されていた森岡毅氏

映画の専門店ではなく「世界最高のエンターテイメントを 集めたセレクトショップ」にしようと森岡毅氏が発言したところ、 会議では重い空気が流れたそうです。
また、2010年に入社して2カ月しかたっていない時期にハリー ポッターエリアの新設を計画したところ、CEOのグレン・ガンペル だけでなく、それ以外の経営幹部のほぼ全員に反対されたそうです。

「お前は狂っている」
「実行したいなら私を殺してからにしろ」
とまで罵られたそうです。
年間売上が800億円程のUSJが、一つのエリアに450億円もの 投資をするのは、確かに大バクチなのですから、 反対されるのも無理はなかったのでしょう。

■ハリーポッターを押し進めた森岡毅氏の考えと情熱

どうして森岡毅氏がハリーポッターエリアの新設を推し 進めることができたのか。
それにはいくつかの理由があります。

森岡毅氏自身がUSJに携わる前からハリーポッター ファンだったため、ハリーポッターの圧倒的な ブランド力を直に感じていたこと。
人気の衰えない強力なブランドに450億円投資するほうが、 すぐに飽きられる映画ブランド10個に毎年45億円ずつ 投資するよりいいと判断したこと。
そしてもっとも大きな理由は、日本は少子高齢化が 進んでいる上に、集客全体の6~7割を関西に依存している ような現状では、将来もっと来場者数が減っていくことは 明らかであり、やるなら今しかないと危機感を持っていたこと。
今やらなければ将来もっと難しくなる、だから今やる。

口で言うのは簡単ですが、実行するのはとても難しく、 度胸のいることだと思います。

■「今あるものを使って何が出来るのか」ほぼ設備投資なし で乗り切った3年間

ハリーポッターのプロジェクトに450億円も投資するわけですから、 他に回せる分はほとんどありません。
そのため「今あるものを使って何が出来るのか」を徹底的に 考え抜き、3年間ほぼ設備投資なしで乗り切るという戦略 を展開したそうです。
有名なものでは、ジェットコースターを後ろ向きに 走らせたことですよね。
他に、森岡毅氏が目をつけた一つが、それまでは赤字の シーズナルイベントだったハロウィーン・イベントでした。

■ゾンビを最高のアトラクションにした森岡毅氏の戦略

日本文化にまだ根付いているとは言えないハロウィーンを、 日本人、特に女性が楽しめるようにするために森岡毅氏が とった戦略が、ダークサイドという非日常を楽しんで ストレスを発散してもらう「ハロウィーン・ホラー・ナイト」です。
夜になると、明るく賑やかなUSJの雰囲気が一変し、死体などの おどろおどろしい舞台道具や小道具が設置され、特殊メイクを 施されたゾンビが徘徊するようになり、ゲストは非日常の中で 思い切り叫ぶことができます。
ここで重要なのは、ゾンビを何体雇っても設備投資の必要が ないことです。
結果は、初日の来場者数が想定の2万人を遥かに超える3倍 の6万人にも達したそうです。
赤字だったハロウィーン・イベントも黒字になり、最終的 には集客数は40万人を超えたそうです。
10月31日のハロウィーン当日に行われた2000人のゾンビ・モブも、 全員ゲストです。
ゲストにはゾンビとなって踊ることを楽しんでもらい、 他のゲストはそれを見て楽しむ。
そしてUSJはアルバイト代を払う必要もない。
設備投資費用を使わず新しい価値を作り、まさにウインウインの 状況を作り出すことに成功したのです。

■ファミリー層を狙った「ユニバーサル・ワンダーランド」

USJに入社し顧客分析に着手した森岡毅氏を驚かせたのは、 主なターゲットであるはずのファミリー層の割合が2割しかないことでした。
ジョーズやターミネーターなどの子どもが怖がるキャラクター ばかりではファミリー層は獲得できない、ファミリー層を獲得するためには子どものためのゾーンが必要と判断し、 ハローキティやスヌーピーといった子どもに人気のある、 パーク内に点在していた28の施設を1箇所に集め、2012年3月に 「ユニバーサル・ワンダーランド」をオープンさせ、これも好評だったそうです。

■まとめ

CEOや幹部から大反対された「映画の専門店から最高の感動を 届けるブランドを世界中から集めたセレクトショップ」への方向転換や「The Wizarding World of Harry Potter」も、大成功を収めています。
黒字化したことで、再投資が可能になり、さらに成長させることも 新規事業を手がけることも可能になります。
これからもUSJは最高の感動を届けるために、新しいことを し続けてくれるでしょう。
最後に、最も感銘を受け共感を覚えた森岡毅氏の言葉で 締めくくりたいと思います。
「結局のところ、中小企業が生き残るには 攻め続けるしかないのです」
「攻めて勝ち続けることでより高く跳ぶか、 現状維持を目指してジリ貧に陥り落下するか」
「業界トップでもない中小企業には、安定飛行 などあり得ないということを誰もが肝に銘じなくてはいけません」

記載:クレアネット谷

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