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最先端技術に応用されている日本の伝統工芸や「折り紙」の話

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SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信vol.107
最先端技術に応用されている日本の伝統工芸や「折り紙」の話 2014.09.08

【1】『集客・検索のキーワードの選び方・使い方』

クレアネットの谷です。
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会社にもセミナー等で来ていただいて教えてもらったりした瀬川先生が、『集客・検索のキーワードの選び方・使い方』上梓されました。書籍の話は前から聞いていましたが、本を書く大変さを越えて素晴らしい本が出版されたと思います。出版と同時に会社に送っていただきました、ありがとうございます。

http://urx.nu/bLn9

【2】WEBマーケティング4コマ漫画

■ 第115話 バズワード

■ 第114話 LINE乗っ取り詐欺

■ 第113話 ユーザビリティ

【3】最先端技術に応用されている日本の伝統工芸や「折り紙」の話

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モノづくりを得意とする日本には、数多くの伝統工芸 や技法が存在しています。 それらは芸術的と言えるほど美しく、精緻で、そして機能的です。 伝統工芸は、極めて合理的で、自然の理にかなっています。 そのためでしょうか。 こうした伝統工芸の技法から着想を得た最先端技術が 数多く存在しているのです。
例えば、海外に日本文化を紹介するときの定番である「折り紙」。 日本人にとっては幼い頃から見慣れている、一枚の平面な紙から 作られた立体の折り鶴に、世界の人々は驚き、興味を持つようです。 そして、数多くの研究者が、折り紙のもつ数学的 な面に着目し、研究しています。 具体的には、折り紙の原理を利用した人工衛星の ソーラーパネルなどの研究が進んでいます。 もっと身近なところでは、スーパーやコンビニで 見かける飲み物の缶にも、折り紙に由来した技術が使われています。 今回のメルマガでは、日本の伝統工芸と、それを応用した 最先端技術について調べ、感想を述べたいと思います。

■「和紙」と「折り紙」 日本の文化と技法

日本の伝統工芸のひとつに和紙があります。和紙は、薄く、丈夫で、美しい風合いをもっています。海外では、紙は主に記録のために用いられてきました。しかし、日本においては記録だけではなく、その耐久性から、ふすまや障子などの内装材や、繊維化してより耐久性に優れた紙布にするなど、多くの工業製品にも利用されてきました。余談ですが、和紙は日本の紙幣の素材としても使われています。海外で、現地のヨレヨレの紙幣を手に取るとき、和紙で作られた、日本の紙幣の美しさ丈夫さを再認識します。和紙の登場からしばらくして、折って楽しむ「折り紙」が生まれました。そして紙の生産量の増えた江戸時代には、折り紙はいっそう庶民に親しまれるようになっていったそうです。
1枚の紙を折ることで様々な形や立体を作りだす「折り紙」は、今や日本だけでなく、「Origami」として世界中で広く親しまれています。「折り紙」は幾何学と密接な関係があります。そのため、日本文化や日本の遊びとしてだけでなく、数理的な側面からも研究されています。
「Computational Origami(計算折紙)」と呼ばれる研究分野や「折り紙設計支援ソフトウェア」まで登場しています。「折り紙」の技法を宇宙開発やロボット開発に役立てる研究も進められています。

最先端技術に利用されている「ミウラ折り」とは?

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最先端技術に利用されている「折り紙」の技法で最も 代表的なものは「ミウラ折り」でしょう。 「ミウラ折り」とは、宇宙構造物の権威で東京大学名誉教授の 三浦公亮氏が、「折り紙」にヒントを得て1970年に考案した技法で 「Miura Folding」の名で広く知られています。 平面を、折り目がわずかに菱形にアコーディオン状に 折る折り方をします。 そうすることで簡単に開閉できるようになるということから、 太陽電池や、地図などの折り畳み法として考案されました。 しかし、平面の強度を格段に向上させられるというメリットも あるため、海底居住区の外殻や圧力隔壁といった、大きな圧力の かかる平面にも利用できるのではないかと考えられ、研究が進められています。

■人工衛星のソーラーパネルなどに利用される「ミウラ折り」
宇宙に物を運ぶのは、とてもコストがかかる上に、難しい作業です。 そのため、宇宙に運ぶものはできるだけ小さくしなければならないの ですが、人工衛星のエネルギーを発電するためのソーラーパネルや、 地上との交信に使うアンテナなどは、かなり大きく、かさ張ります。 しかし、「折り紙」の技法を使えば、荷物を小さく折り畳んで コンパクトにすることができます。 そして、宇宙に打ち上げてから、大きく広げればよいのです。
こうした宇宙開発の研究には、アメリカの物理学者で、著名な 折り紙アーティストもあるロバート・J・ラング氏や、日本に 留学した際に目にした折り紙に目を奪われ研究するようになった、 NASAに属する研究所の一つでメカニカルエンジニアを務める ブライアン・トリーズ氏などが携わっています。 この「折り紙」の技法と、それを利用した宇宙パネルの融合について、 トリーズ氏は、 「アートと文化、そしてテクノロジーが交差するクロスオーバー となっています」と語っています。 芸術的な日本文化が、遠いアメリカの地で最先端技術に応用されている。 とてもロマンチックな話ですよね。

■まさに「トランスフォーマー」の折り紙ロボット

「折り紙」からヒントを得て作られた、自動で立体化する 「折り紙ロボット」も話題になっています。 マサチューセッツ工科大とハーバード大学の研究チームは、 平らなシートが1分程で自動的にロボットに変形し、秒速5センチ ほどの速度で方向を変えながら歩き回る「折り紙ロボット」 を公開しました。 この「折り紙ロボット」は、折りたたむ線のパターンを エッチングした形状記憶ポリマーに、バッテリーと電動モーター、 電子回路を内蔵し、紙でラミネートすることで作られています。 そして、電子回路が発した熱に反応して、形状記憶ポリマー が収縮し、ロボットに変形。 熱が冷めると電動モーターがロボットを動かす仕組みに なっているそうです。
この折りたたむ機能には、折り紙設計ツールである「Origamizer (オリガマイザ)」というソフトウェアが利用されているそうです。 イギリスで発行されている日刊新聞フィナンシャルタイムズ紙は、 「日本の折り紙からヒントを得たアメリカの研究者が トランスフォーマーを開発した」と表現しました。 ちなみに、北米で有名な、車などがロボットに変形する 「トランスフォーマー」というおもちゃも、日本が生み出 したものだそうです。 もともと日本国内でタカラから販売されていた変形ロボットの おもちゃを、アメリカのハズブロ社が業務提携し、他の変形 ロボットのおもちゃとともに「TRANSFORMERS」として 販売したところ大ヒットに。 それが日本に逆輸入されたものが「トランスフォーマー」だそうです。

■「折り紙ロボット」の可能性

「折り紙ロボッ」トは、高価な材料を取り入れることで性能を向上 させていくことも十分に可能だそうですから、これからもっと複雑で、 機能的な変形がすばやく出来るようになるのでしょうね。 何体ものロボットを、コンパクトな平面状にした状態で送り、到着した 時点で遠隔操作によってロボットに変形させることができれば、 宇宙だけでなく、地球上での輸送コストも大幅に下がります。 人間の入れない狭い隙間や、人間の活動できない場所での探索 や救助などでの活躍も期待できるかもしれません。

アルミ缶に採用された「ミウラ折り」

宇宙開発やロボットといった最先端技術の象徴のような分野 だけでなく、普段手に取る飲料の缶にも、「ミウラ折り」 の技法が使われています。 「ミウラ折り」を使って新型缶を生み出したのは、製罐業界の東洋製罐です。
新型缶の開発をリードした大塚一男氏は、「ミウラ折り」 を生み出した三浦公亮氏が、ハワイ大学と共同で大きな 水圧に耐える海底居住区の研究をしていると聞き、平面に 強度を持たせることの出来る「ミウラ折り」の特性は飲料 の缶の技術にも応用できるのではないかと考えたそうです。 「ミウラ折り」を利用した缶は、通常のものと異なり、 表面に三角形のくぼみがつけられています。 その三角形の模様をつけることで、強度を保ちながら、 厚さを削減することができるそうです。
缶コーヒー向けに初めて「ミウラ折り」を取り入れ出荷 したところ、コスト・素材使用量の3割カットを実現 できたそうです。 その後、スチール缶ではなくアルミ缶に「ミウラ折り」 を使用してみたところ、アルミ地肌の輝きがより印象的 になったそうです。 そのデザイン性に目をつけた酒造メーカーが、缶チューハイを 「ミウラ折り」のアルミ缶を使って販売したところ、 大ヒットとなったそうです。 強度だけでなく、デザインによるイメージ向上も可能としたのですね。

まとめ

伝統工芸と最先端技術の関係を調べていくうちに、 最先端技術やハイテク製品に応用されている伝統工芸の技法は、 「折り紙」だけでなくもっと多いことがわかりました。
例えば、その一つが漆塗り。 英語ではjapanと呼ばれることからも判るように、 欧米でも日本の伝統工芸として有名な漆器と漆塗りは、 その美しさから、世界中の企業やデザイナーに注目されています。 しかし漆器には、傷つきやすく、製作に時間とコスト がかかるといった欠点があります。 この欠点を克服しようと、古くからある漆塗りの技術から、 漆のもつ光沢感や質感を再現できる「オリエンタルペキュリア」 という新しい漆含有塗料を開発したのがユーアイヅです。 ユーアイヅはこう語っています。
「伝統工芸である漆器がここで作られるようになったのは、およそ400年前」
「その間、漆は時代に応じてさまざまな技術革新がなされてきました」
「生き残るためには、常に変わり続けなければならないんですよ」
生き残るためには、常に変わり続けなければならない……本当にそう思います。
文化や伝統の中から最先端技術に新しいアイディアを与えた「折り紙」。 生き残るために伝統工芸でありながら技術革新され続ける「漆塗り」。 ビジネスで成功し、発展を続けるためには、いいアイディアを出し、 変化し続けることができるかどうかにかかっています。 伝統工芸と最先端技術の関係を調べることは、興味深く楽しい ことでしたが、それ以上にこの考えを再確認させられることになりました。
何でもそうなのですが、プロダクトやデザインは人間の感性と意識の 集合体ですね。何気なく使うボールペンの軽さや肌触り、長さにカラーなど 材質も含めてすごいものですし、うちで作るサイトやシステム1つ1つもそう ありたいものです。
記載:クレアネット谷

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(次回につづく)

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