メールマガジン

メールでのトレードオフの関係

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SEOマーケティングの未来を読む~クレアネット通信vol.94
「メールでのトレードオフの関係」2014.05.9

【1】和歌山県とトルコの話

140512

もうすぐワールドカップなんですが、 12年前の日本でのワールドカップではいろんなチームが 来ましたが、何とトルコ代表は和歌山にキャンプ地として 選んでくれました。

■ 和歌山県とトルコの話

100年前からこういった交流がありました、 日本史の教科書にも掲載されていたような有名な話です。
お互い親切にしてもらって、縁が良縁になる、 いい話ですしこういった話は誇りに感じます。

【2】WEBマーケティング4コマ漫画

■ 第97話 コンバージョン

■ 第96話 リターゲティングとリマーケティングの違い

「こんなネタも書いてほしい!」などあればお気軽に
スタッフまでお声かけください。

【3】メールでのトレードオフの関係

Androidユーザーだけでなく、iPhoneユーザーも利用している世界最大のメール サービスであり、Googleの主要サービスの一つでもあるGmail。
Gmailは名実ともに、世界一のメールサービスといってもいいと思います。 そのGmailが、ここ数年で相次いで裁判などのトラブルに巻き込まれています。 理由は「Google がGmailの内容を覗いているから」です。
今回のメルマガはこの問題から、情報社会とプライバシーについて考えたいと思 います。

■トラブルに巻き込まれている理由

送受信したり保存したりした際に、Gmailの分析が自動的に行われています。 Googleはその理由として「ウィルスのチェック」と「ターゲット広告の配信」を挙げています。
「ウィルスのチェック」は、言葉の意味も分析する理由もわかりますよね。 では「ターゲット広告の配信」とはどのようなものでしょうか。 例えば、Gmailでレストランの話をしていると、ブラウザでGmailを開いた時に出 てくる広告にレストランに関連する広告が出やすくなります。 このように、ユーザーが関心を持っているものをメールの内容から読み取り、そ れと関連性の高い広告を表示させようとするのが「ターゲット広告の配信」です。 この「ターゲット広告の配信」のために、がGmailの内容をチェックして いることが、覗きだと批判されているのです。
オンライン広告から多くの収益を得ているGoogleにとって訴訟は大問題でしょう し、オンライン広告業に関わる者にとっても、他人事ではない内容です。

■Google とGmailのトラブル
サービス提供が開始されたのは、今から10年前の2004年4月1日です。 提供された直後から、議員や活動家たちは、 「企業が電子メールの内容をスキャンし、関連する広告を表示する行為を違法に すべきだ」 「インターネットユーザーのプライバシーをあからさまに侵害するものだ」 と主張し、激しく非難していました。
こうした状況が続く中で、 「ユーザーの同意なしでGoogle がメールを分析することは法律違反」 として、Googleはアメリカで集団訴訟を起こされています。 裁判の細かい経緯を書いてくと膨大な上に面白くありません。 双方の主張のうち、要点や、興味深いところだけを取り上げていきます。

■原告側の主張
・「Googleは適切な広告を人々に届けることを理由にしてGmailを読んでいる」
・「盗聴関連の連邦法および州法に違反している」
・「広告表示と引き替えにGmailを無料で提供しているはずなのに、
  有料サービスのGoogle Appsユーザーのメッセージまで読み取るのはおかしい」
・「電子メールを送りたいならプライバシーに踏み込まれることを
  受け入れなければならないというねじ曲がったGoogleの理論を、裁判所は否定した」

■Google側の主張
・「ユーザーにセキュリティ保護とスパム遮断、さらに優れた機能を提供するための、
  通常業務の範囲であるので通信傍受法違反にあたらない」
・「サービスの維持のためにもユーザー間で交わされるEメールすべてに目を通す必要があり、
  ビジネスとして当然の行為である」
・「サービスを維持するためにもGmailを今後も読み続ける」
・「原告の主張はビジネスとして当然の業務を行っているGmailのサービスを犯罪と見なしているから告訴する」
・「Eメールのスキャンは完全に自動で行われており、人間の目でチェックすることは一切ない」
・「Gmailユーザーは、Googleのサービスを利用するにあたって当社にEメールを閲覧する権利を与えている」

■訴訟の結果は
「Gmailのサービスを犯罪と見なしているから告訴する」なんて企業側であるGoogleがいうのは、いかにも訴訟大国のアメリカ的だなぁという気がしますが。 気になる裁判の結果は、
「問題とされている電子メールスキャンは、サービス提供のために不可欠な要素でもなく、サービス提供によって偶発的に発生したものでもない」 「Google の利用規約には、メール分析の結果を広告に利用することへの説明が不足している」
と判事は指摘したものの、結局、このGmail集団訴訟は、米連邦地裁が原告側の 訴えを棄却するという結果に終わりました。

■Google利用規約に追加
実は、今まで自社の広告サービス「AdWords」や Gmail のヘルプ ページにはメールを分析して最適な広告を配信するという旨を記載していました が、Gmailの利用規約にはGmailの分析を行っていることやその結果を広告の表示 に利用していることを明記していませんでした。
こういうところも、ユーザーの不信をあおったのかもしれません。
Googleは訴えられたこともあってか、広告の配信と検索結果のカスタマイズを主 な目的として、 Gmailの内容を分析していることを認める文章を利用規約に追加 しユーザーに通知するようになりました。 Googleが4月14日に改訂した、Gmailの分析に関する利用規約がこれです。
「自動化されたシステムはユーザーのコンテンツ(メールを含む)を分析して、関連性の高い機能をユーザーに個別に提供します」
「このような機能には、カスタマイズされた検索結果、カスタマイズされた広告、スパムとマルウェアの検出などがあります」
「この分析はコンテンツが送信、受信、および保存されたときに発生します」

■プライバシーを期待すべきではない」?
訴訟は勝訴に終わり、Gmailの利用規約にも内容を分析していると明記されるようになりました。 しかし、Googleが裁判所に提出した書面がまた新たな波紋を呼ぶことになります。 それがこれです。
「ビジネスの相手に手紙を出した人物が、相手の秘書によってその手紙を開封されても驚くべきでないのと同様に、今日においてウェブベースの電子メールを利用する人々は、自らの電子メールが送り届けられる過程で、受信者のそれ(電子メールのプロバイダー)によって何らかの処理がなされても驚くべきではない」
「実際のところ、『第三者に対して任意に情報を提供した人物は、その情報に対するプライバシーの法的保護を期待できない』のである」
「ネット時代にプライバシーなど存在しない」と言うことでしょうか。

■いろんな意見
消費者監視団体のConsumer Watchdogは、このGoogleの声明を「驚くべき告白」と呼び、プライバシーを気にする人はGmailを使わないよう警告したそうです。そのConsumer WatchdogのPrivacy ProjectディレクターであるJohn M. Simpson 氏の声明がこれです。
「Googleの説明には、誤った例えが使われている」
「電子メールを送付するのは、手紙を郵便局に渡すのと同じだ」
「私が郵便局に期待するのは、その手紙を封筒に書かれた住所を元に配達することだ」
「配達員が封筒を開けて手紙を読むことではない」
「同様に、私が電子メールを送付する際に期待するのは、Gmailアカウントを持つ目的の相手に電子メールがメールアドレスを元に送信されることだ」
「その内容をGoogleが傍受して読み取ることをどうして期待するであろうか?」
納得できる部分もありますが、このJohn M. Simpson氏の声明にも「誤った例え」が使われていると感じます。
・配達員が封筒を開けて手紙を読むな。
確かにもっともです。 しかし、Gmailを郵便に例えるのは違うと思います。 なぜなら、Gmailは切手のいらない無料のサービスだからです。

■「悪用される可能性があれば悪なのか」
IT企業創業者らが集まる「新経済サミット2014」で行われた、米Oracleのラ リー・エリソンCEOの基調講演が、非常に示唆に富む内容だったため、ここで取 り上げたいと思います。
政府やGoogleといった大企業が膨大なプライバシー情報を抱えていることへの ユーザーの過剰な反発に疑問を呈しながら、今後の情報社会の発展について彼は こう語っています。
「例えば火も航空機も危険な使い方ができるが、便利な側面にフォーカスされており、規制しようという動きはない」
「全てのテクノロジーは“悪用される可能性がある”ので、それだけで必ずしも悪とは言えず、むしろ“これまで悪用されてない”ことの方が重要」
「民主主義国家に生きている我々は、間違ったあり方は規制し、社会をよりよくするために活用することができる」

まとめ

「Gmailのスキャンはコンピューターによって自動で行われていて、人が覗き見ているわけではないんですよ」と言われても、確かにあまり気分のいいものではありませんよね。
それに、Googleが人為的にメールを見ることも、広告の配信以外に使うことも、やろうと思えばいくらでもできるわけです。そのための抜け穴なども、規約に明記されたことでいくらでも作りだすことができるようになったかもしれませんし。
しかし、ラリー・エリソンCEOの言うように、間違っていれば規制できる世の中なのだから、使い方しだいで社会をよりよくできるものは、どんどん活用していくべきなのではないでしょうか。悪用される可能性があるから規制せよ、では発展はありません。先ほどもあげた「新経済サミット2014」で「プライバシーに対して保守的な意識の人をどう変えていけるか」という質問がありました。楽天の三木谷浩史社長の回答はこうでした。
「最初から全員に適応させるのではなく、オプトイン/アウトを選択できる個人の権利として訴求すること」
「社会が便利に安全になることを見せれば世論はついてくる」
「Facebookには喜んでプライバシー情報を提供するのは“見返り”として家族や友人と交流できる楽しさがあるから」
Gmailは無料でありながら便利なサービスです。
スマートフォンにも対応しているので、スマートフォンが普及した今では、昔よりユーザーも増えているでしょう。 やはり、無料のサービスを利用するにあたっては、対価として情報を提供する必 要があるのかもしれませんし、それをよしとするユーザーが多かったからこそ、 プライバシーの侵害だと10年間も批判されながらも、Gmailのサービスが続いて きたのだと思います。
社会をよりよくし、10年以上も支持され続けるサービス。 こんな話をいろいろしてたらとある社長に一言。
「無料で無茶なこと言うたらあかんわ。イヤならサービス解約してやめたらええねん」
話が終了、シンプルですが同感。
広告主からすれば顧客の属性が分かる、ニーズがわかる、趣味嗜好がわかった ターゲットにリーチできるのがいいに決まってるわけで。 当たり前の発想ですが、立場変われば当たり前でなくなる。 だからこそビジネスの種がある気がします。

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(次回につづく)

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