熱く生きる 天野篤先生


熱く生きる 天野篤先生。

熱い本でした、天神橋筋六丁目のスーパー銭湯行ったときのサウナ。そのサウナにはテレビがついていたので何気なくみてたのですが、ちょうど心臓血管の執刀を行った患者が回復して一緒にゴルフを楽しんでいるシーンが出てきました、「そんな先生いるの?」でしたが、執刀した以上その後の回復が気にかかるのは当然で、手術の縁で人生に関わり合いになることは素晴らしいことだと思うわけで。

著者の天野先生は心臓外科医として、6500例を越える手術を行い最近でも1年間に500件近い手術を行っていて、1日1件以上だ。1日に4件もの手術を行うときもあり、8時間以上の長時間手術もあって、深夜に緊急で救急車で搬送されてきた患者さんを緊急手術することもあるそう。そして先生はすでに50歳を越しているにも関わらずこれだけ現役の医師として今も人を救い続けているのは本にも書かれているが、医師としての「世のため人のため自分の力を尽くす」ということ以外何者でもないと思います。武士道と言う言葉のように、医師道がある、これは先生の言葉だが、医学部に入り研修を行い国家が免許として与える医師と言う資格を持っている以上、医師として世のため人のため尽くすことの想いがないと医師であってはならないと説かれる、この人の命を絶対に助けてやる、そんな思いを読んでいてびしびし感じます。

私のような凡人から思うと、お医者さんはほんとに偉いと思う。
純粋に人の命や病気や痛みを和らげるのはお医者さん。これは純粋に尊敬してしまう。たとえいろんなお医者さんがいるのは知っていても。

天野先生は「世のため人のため生きろ」と言っています、読む中で仕事の中で磨かれたたくさんの言葉がありますが、その中の言葉をいくつか抜粋してみる。自分の仕事とは違っても、医業を通じて世のため人のため尽くすことと、うちのようにwebやネットを通じて顧客の事業に貢献して、企業を元気にする仕事も世のため人のため尽くすこと、同じように考えています。

文章の内容など少し紹介すると、

「医師として奉仕と犠牲の精神はあるか?医師の仕事はテレビのように格好いいものではない。重症患者の連夜の泊り込み、急患のために休日の予定の突然の取りやめなど日常茶飯事だ、死にいたる病になく患者の心に君は添えるか?君に強く求める、医師の知識不足は許されない。知識不足のまま医師になると罪のない患者を死なす。知らない病名の診断は不可能だ、知らない治療をできるはずがない。そして自責の念がないままに、あらゆる手を尽くしましたが残念でした、と言って恥じない。こんな医師になりたくないなら、「よく学びよく遊び」では許されない、「よく学び、よく学び」しかないと覚悟せねばならない」

「医師の喜びは2つある。1つは自分の医療によって健康を回復した患者の歓びが自分の喜びである。もう1つは世のため人のため役立つ医学的発見をしたことが歓びである。心の真の平穏をもたらすのは、富でも名声でも地位でもなく、人のため世のために役立つ何事かを成し遂げたと思えるときなのだ」

また手術を6500件以上行ったことに関して、

「仕事に飽きるのは中途半端に妥協しているからだ。手術を一定数越えた後も、まだまだ成長していると思っている。血管のつなぎ方ひとつにもそれまでの「しっかり堅固に縫う」から、ときには「あえて緩く縫う」ことができるようになった。しなやかさを残して縫合することで手術後の回復によい結果が出ることもある。開眼と言う言葉があるが、まさに見えなかったことが見えるようになってきた。手術時間が短いと患者さんの負担もより少なくなる。安全で常に高いレベルの手術への意識を持とうとすれば、今日終わった手術は過去のもの。明日行う手術が自分の新しい取り組みと変わる。そう考え直すとゴールはない」

「自分の行った仕事に常に「完璧な完成度」を目指し、そこをひたすら求めていく限り飽きるということは全くない」

他にも抜粋したい言葉は山のようにある、将棋の羽生さんの話からヒントを得たりなど仕事の珠玉の言葉が散らばっている。人の生死に日々向かっている天野先生の言葉は全てが重いし伝わります。なので仕事で飽きることも全くないし、同じことを行ったとしてもwebなど全く同じものは存在しないので、スピードを早めることを行ったり、ツールの新しいものを使ったりなど創意工夫は数え切れないくらい存在します。

医療に関わっている人間でないからこそ、医療と同じように熱い気持ちを持って日々取り組まないといけないと感じます。自分のミスで人を殺めてしまうことがない仕事と、殺めてしまう仕事であるお医者さん、立場も責任も違う部分はあるけど、そういった同じ気持ちを持つことは大事。

こういった素晴らしい本に触れるたびに、自分の甘さもそうですが、「技術面」という部分の飽き足りなさも含めて「コミュニケーション」の奥の深さや、「マネジメント」としての奥の深さを感じ気付きを得ることができます。仕事に飽きる、業務に飽きる、そんなことを口に出していたスタッフも居ましたが不正解。

全てにおいてまだまだひよっこ、強く自覚して精進します。

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