熔ける~大王製紙前会長 井川意高の懺悔録


大王製紙の前会長の井川さんの回顧録ですが、回顧録改め懺悔録。
井川さんですが、上場企業で数千億の売上企業大王製紙の元会長で、井川さんは子会社から借財してまでカジノにはまってしまい106億円も負けて、背任罪で実刑を受けた方です。何でそんなことになってるの?と思うような事件でしたが、読んでいくうちにカジノなどのギャンブルの怖さが理解できます。ギャンブルで身を滅ぼすようなことは聞いたりしますが、金額がこの井川さんの場合は普通じゃ考えにくい額まで来ているわけで。

懺悔録なので、この本の買った利益は寄付されるそうですが、不思議に感じるのはこの本を出すことにした井川さんの心境などです。
ギャンブルで失敗することは周りではよく聞く話かもしれませんけれども、経営に関わるトップがこのような本を出すことはあまり見ないので、やはりいろんな想いや考えがこんがらがって想像してしまいます。社長の失敗談をまとめた本をあえて言えば、社長失格の板倉さんの本であったり、クレイフィッシュの松島さんの「追われ者~こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた」などがありますが、立場は違えども明日はわが身と思わざるを得ないような気持ちになるわけです。

創り上げてきたものを失うことであったり、大きな失敗をしてしまうことは経営をしていると、挑戦が多かったり長い年月を経た場合にはそれは必ずあることです。
自分のミスで四面楚歌状態になってしまったときに、ぐっと歯を食いしばって耐え抜けるのか、しっかりと現実を受け入れてミスを認めて再起を図れるのか、そこがポイントではないかと。

井川さんの本の話や文章を見ていると、今後どのようになるのかなどが本当に気にかかりますし、いいとき悪いときでもここまで自分を見つめることも正直難しいものです、自分は仮に何かで逮捕や勾留、懲罰を受ける手続になったときにここまで真摯に見つめることができるのか、と感じました。

徳川家康は30歳の時に、有名な『三方ヶ原の戦い』で、武田信玄相手に大敗北を喫したのですが、家康はこの敗北を肝に銘ずるため、命からがら浜松城へ逃げ帰った自らの姿を描かせ、慢心を自戒するため生涯座右から離さなかったと伝えられています。「二度と思い出したくないとき」、「あの頃に戻りたくない」、「あの失敗はもうしたくない」、その思い出や記憶があれば慢心は防げます。画像は司法試験の民法の択一六法。LECで買った2001年度版の司法試験用の択一六法ですが、書き込みをいろいろしたうえに手垢で汚れてしまっています。あのときのように試験に受からないと人生が開けないという道は歩みたくない、仕事も決まっていなくて年だけを重ねることはしたくない、就職活動をするといっても26歳で定職についたことのない人間にはいい仕事にもめぐり合うことなんてできやしない、など、家康のいう『三方ヶ原の戦い』と同じように今でも持っていますし、慢心を防ぐことは家康でも大事と思っていたのならいわんや、です。

>>> wikiより~『三方ヶ原の戦い』

関連しているブログ記事一覧