[盛和塾] 機関紙マラソン 136号

[盛和塾] 機関紙マラソン 136号

「盛和塾第23回世界大会2015」心を高める、経営を伸ばす

つまり何のために盛和塾に入ったのかと問われれば、
「業績を伸ばし自分の会社を立派にしたい」ということになります。

真の意味での経営の楽しさは自らの手で業績を伸ばしていくという
実感を自覚することです。ですから本来であれば盛和塾に入塾した時の会社の業績をしっかりと記録し、そこから業績がどのように伸びていったのかをずっと見ていていればなりません。そして、実際に「業績が伸びてよかった」と思えなければ、盛和塾に入る意味がありません。

損益計算書には、一見無味乾燥な数字しか並んでいません。
しかし、本当に真剣に細かく見ていき、なぜこういう数字になったのかを考え抜いていけば、その数字から担当者の顔がありありと浮かび上がってきます。
数字が経営の実態をこと細かに物語ってくれるのです。
それはどんな傑作の小説よりも面白い読み物になっています。

今でも、私の寝室の枕元には、常に十冊ほどの本が積んであり、
どんなに夜遅く帰ってきても、必ず寝る前に一ページだけでも読んでから寝るという生活を習慣にしています。

経営者自身が率先垂範、必死で働くことを学び、実践できたなら、第二のステップは、「社員を説得し惚れさせる言葉を学ぶ」段階です。
経営をしていけば人を使うことがいかに難しいかということに悩み始めます。

中小零細企業のとき、潤沢な資金があるわけはなく、技術力もありません。
優秀な人材も来ません。中小企業であれば望むような人材は来ません。来てくれた人が宝です。天に唾するように「自分の会社にはたいした社員がいない」 というようなことを絶対言ってはなりません。

【気付き】

自分は大したことない、だから社員も大したことない、は正しい感覚です。
走りが遅い、頭が悪い、記憶力がない、だからこそ創意工夫の出番、というのがしっくりきます。そういった現状を嘆く前に、そこからどのように工夫して会社を伸ばしてやろうか、ばかりを考えるとポジティブで楽しめます。

今はどん底。臥薪嘗胆。=「臥薪」は「薪(たきぎ)の上に臥(ふ)し寝ること」、「嘗胆」は「苦い胆(きも)を嘗(な)めること」。
目的を成し遂げるため成功を期待して苦労に耐えること。
伏せて舐めまくっている感覚。

業績も自分もまだまだすぎます。司法試験勉強してた頃から臥薪嘗胆の気持ちでしたし、起業時もそう。今考えても望む未来からみて現状は「臥薪嘗胆」。

説得して惚れされるには言葉もそう、そして実行力と結果。
ちなみに、文章を日々ブログで書いてますが、文章を書いたり言葉にすることは自己検証して自分を認識して自分を鏡に見せてみる行為だと思います。

できるだけ正確な言葉で表現するには感情を見据え、搾り出すような言葉が生まれます。文章にはその人の思いと行動と人生が宿る、昔司法試験では
「書いたら血しぶきが出るような答案を書け」
と言われてたことを思い出します。今も文章を通じて自分をあらしめています。

南達哉  〈仙台〉 皆成建設株式会社

電話をかけて来た社員が発見者でした。私は頭が真っ白になりながらも、すぐに救急車を手 配すること、私も駆けつけることを伝え、電話を切りました。
とにかく、命だけは助かってほしいと祈りながら身支度をしましたが、さす がにワイシャツのボタンは手が震えて、一人で止めることができませんでした。

考えてみますと私も、若い時に社員が交通事 故を起こして、相手の方が亡くなるということがありました。亡くなった方の家に私も行って事故を起こした社員よりも前に出て、お詫びでは済まないわけですけれど、自分の額を畳に付 けて親御さんに一生懸命にお詫びをしました。事故を起こした社員は泣き崩れておりましたので私が社員をうしろにかばって、一晩中ご遺体の前に座っていたことを、今思い出しておりました。

【気付き】

人の死に関する出来事。
今後必ず遭遇するとは思いますが、このようなことも起こりうるのが経営、
だと。塾長の交通事故話は前にも読みましたが、社員が自殺しないように見張っていた、まずは何か食べて腹に物を入れて落ち着かせた、というようなくだりは覚えています。これも経営。

井上 勝貴 〈滋賀〉 日産プリンス滋賀販売株式会社

塾生が発行している社内報でした。訪問し教えを乞いました。そこには盛和塾での学びやフィロソフィが掲載されており、私にはとても眩しく感じました。
そして実行に移しました。
社内報を「社新」と名づけ、制作・編集・印 刷を自分の手で行い、会社や店舗の損益・各指数を掲載しました。また社員の活躍やトピックをまとめました。
こうして六年と五カ月経った現在も、毎月欠かさず全社員分発行し、取引銀行や内定した学 生にもそれらを渡しています。

【気付き】

社内報はクレアネットでも作ってみました。
活かすも活かさないもやり方次第ですが、社内外のステークホルダーに配布は結構効果的にも思います。理念の浸透もそうですが、チャットワークやメール、
グループだと流れてしまうのもあるので。

浜田 総一郎 〈横浜〉 株式会社パスポート 代表取締役社長

それまでの私は金もうけには興味がなく、「人の道」を求めて古典や仏典の世界に没頭したり、 「禅や密教などの修行を個人的な求道としてやっていました。

道を求めて修行をすることと、金もうけのための経営とは別のものであると思ていたのです。しかし、稲盛哲学を学ぶうちに経営とは単に金もうけだけを目的とするものではなく、高邁な理念集団を築き人を幸せに導くために自らの心を高めるための修行なのだということに気付いたのです。

【気付き】

金もうけと経営は違うもの、あたりの感覚は自分でもしっかりしないとぶれます。スタッフに自分の歩んできたノウハウを共有し仕事をどんどん引き継ぐ。
そして権限委譲してキーマンを紹介し、スタッフを成長させる。
自分の手が空いてようやく仕事のレバレッジが効いてくる、というようなことを今すごく意識してますが、ひいてはこの結果が将来を創り出す。

そのための未来創造費用に利益が必要、この循環は善です。

厳 心鏞〈台湾〉 稻禾餐飲國際股份有限公司 総経理 

開店を控え、私は創業者の梁さんに「会社へ何か言葉を贈って欲しい」とお願いしました。 すると「稲盛塾長は『敬天愛人』を説いておら れます。
私も、厨房に立つ店員一人ひとりが麺 をこねる時、厳かな気持ちで一碗一碗を丁寧に 作って欲しい。そこで『敬事如神(敬うこと神
の如く)』の四字を贈ります。また、お客様を 接待する店員がそれぞれ、お客様には身内のよ う接して欲しい。そこで『待客如親(客に相対
すること家族の如く)』の四字も添えます」

今まで聞いた体験発表は、たいていが「事業 →雇用→利他」の順での経営がほとんどでしたが、厳さんの取り組みは、「利他→雇用→事業」 の流れで、衝撃を受けました。本来事業とはこういう思いでおこさなければいけないのではないかと、新しい視点をいただき、感謝しています。

【気付き】

仕事ありきで利他の心ではなく、利他ありきで仕事。
若いころは学生ではあったので、「無駄遣いの公共事業」「意味のわからない公共工事」などの無駄遣いを行うべきではない、などの視点ありましたが、今になってくると「一生を貫く仕事」は大事です。
お金をばらまくよりも、仕事を通じて社会に貢献している意識は人間にとっては実に大事なのでは、と思います。無駄遣いはいけないのですが、未来や夢などと一緒に貢献意識。