[盛和塾] 機関紙マラソン 84号

[盛和塾] 機関紙マラソン 84号

塾長理念

人の心をベースにした経営を行うよう、努めてきました。もっと具体的に言えば、強固で信頼のできる心の結びつきを社員とつくり、それを保ち続けることに焦点を絞り経営をしてきたのです。愛されるためには愛さなければならないように、心をベーズにした強い人間関係を築くためには、経営者自らが純粋な心を持ち純粋な心の持ち主に集まってもらわなくてはならないのです。

【気付き】

純粋な気持ち、自分を見つめること、自分が欲するものを知ること。
この事業がこの仕事が本当に社会の役に立つと信じること。
誰かの役に立っていると感じること。
その想いを伝えること。強烈に思うこと、一点の迷いもないこと。
信念に基づくこと。

想いが人をあらしめる。

塾長講話 第八十回

今日、京セラは売上一兆二千八百億円を超える、メーカーとしては大きな売上をあげる企業に成長いたしました。世界中に多くの工場を持ち、六万人を超える従業員を擁する規模に成長していますが、創業当時に決めた、この「人間として正しいことを貫く」、つまり西郷が説く「天道」を踏みつつ経営するという方針は一切変わっていません。

私は会社経営に、まさに100%没頭していました。「個人の時間などは、一切ない」とさえ思ったほどです。

「優秀な人を採用していくことは必要ですが、苦楽をともにしてきた人たちも大事にして下さい」と、いつも答えています。

中国の古典に、「謙のみ福を受く」(『陰隲録』)という言葉があります。謙虚でなければ、長く幸福を獲得することはできないという意味です。

【気付き】

古いスタッフほど多くの経験をしています。

「この環境だと経験を積めない」といって飛び出すスタッフを見送ること。
大変な取引でトラブルになって何とか何とか解決した苦い経験。
せっかく入ったスタッフが『会社に合うのかどうか、1週間で辞めるかどうか判断しようと考えていたのですが、まだ悩んでいます』と難しい相談を受けること。

など苦楽を本当にともにしているといろんなことがあります。
その人たちの分も思いも大事にしないといけない、また、その想いをしっかり背負うのが経営者なので、1人で仕事するよりももっともっと頑張らないと、そう感じました。

塾長夜話

強い方が弱い方に対して、三顧の礼をもって迎え入れるのです。「あなたのところは弱っておられるけれでも、我々と一緒になって、厳しい業界を生き残っていきましょう。」つまり、利他の心を持った人が吸収合併の話を持ちかけるのならうまくいくのですが、一般にはそうではありません。

【気付き】

そういえば春の甲子園選抜で優勝した大阪桐蔭の西谷監督。
投手の根尾投手、前には中田翔選手、など中学のときに活躍した選手を「ぜひ大阪桐蔭に」とオファーを出して来てもらうそうなのですが、中田選手ならなんと50回以上も地元広島に通ったそうです。

根尾選手もお父さん、お母さんにはもちろん、練習をぜひみに来てほしい、と語ったと話を聞きます。営業してるのでわかりますが、三顧の礼よりももっともっと誠意を尽くす、本当にこれは大事なこと、と思います。

西谷監督は元営業マンだったそうなので、その感覚を知っているんだと感じますし、私も仕事最初は営業だったので本当にわかります。礼をもって礼を尽くす。

花田雅江<岡山>株式会社岡三食品 代表取締役社長

父は常日頃から、「他人に騙されても、決して他人を騙すな。騙されてもあきらめて、高い授業料を払って勉強したと思え」と言っていました。

循環取引の橋渡しで債務が八千五百万円に達したときに、もうこれ以上私は責任を持てないと思いました。

【気付き】

循環取引や融通手形などでおかしくなった企業や、ITバブルのときの上場企業なども聞きます。騙されてもいいので勉強料と思う、のはいいですが、やっぱりいろんな失敗ケースから学びを深めることは常に大事です。

村上健<神戸>カネテツデリカフーズ株式会社 代表取締役社長

一九九五年一月十七日阪神大震災が工場を襲い、水とガスの供給が止まり四十日間の操業停止に追い込まれました。

冷凍すり身の支払手形の未決済分三十八億円、金融機関の債務が六十二億円、取引業者が八億円、保証債務が八億円。計百六十億円の債務を抱え約三十億円の債務超過、取引先四百三社。金融機関十六行。優先債権や担保つき債権を除き、四割免除していただいた和議弁済総額は約四十二億円でした。

復帰して一年もたたない二〇〇二年六月、第三の衝撃事件が弊社を襲います。「賞味期限を改ざんした」というマスコミ報道でした。

その人の生まれながらの性格が変わるのは、毎日毎日反省するか、破産、刑事告発、事故、災難などその人の人生を根底から揺るがす事件が起きたときしかないとおっしゃています。

大学の商学部や経営学部を卒業しても、実際の中小企業の経営にはなんら役に立つようなことは教わっていません。日本には何十万何百万と中小企業がありますが、経営とはどうすればいいかをわかって経営をしていらっしゃる人は、まずいないと言ってもよいと思います。

【気付き】

FM802でもひんぱんにでてくるかねてっちゃんのカネテツさん。
こんな大変な道を進んでいるとは知りませんでした。

これだけの大会社を外部から引き継ぐことはすごく大変だと思いますし、創業の中小企業経営者には気付けないいろんなことっもあるんだと感じます。だからこそ、経営の学びが必要なんだと。

林みち代<岐阜>林電機株式会社 代表取締役

昭和六十三年九月一日に私の父が、その年の十一月二十三日に主人の父が、そして平成三年二月二十六日に主人が、相次いでなくなっただけでなく、平成八年十二月三日には長男が交通事故に遭い、二十四歳の若さでこの世を去りました。

企業の責任は、とにかく利益を出すこと。事業の目的は、私を支え続けていてくれる社員の物心両面の幸せづくりと考えています。

経営者は、決算書、損益計算書をみて、何をしなければならないのか、どの経費を減らさなければならないのか、どこで売上を増やさなければならないのか、わからなければならないのです。

【気付き】

身近な人の死は辛いです。

また息子さんに旦那さんまでも、そしてもう1人の息子さんがいておられて本当によかったなとかも感情移入してしまいました。

それほど大きくない企業でも必ず他の会社に秀でているものがあります。
その発見こそが大事ですが、その点を数字をみて判断できる能力と経験則が経営には大事。

田村均 株式会社リコー 経営品質管理本部計画室室長

経常利益で二兆円をあげながら、常に改善、改善、改善です。彼らは売上が大きいから安心だとは、まったく思っていません。常に自分たちの望んでいる姿を描き、それと現実のギャップを見つけて改善していきます。

例えば綿棒。マッチ棒に綿をくるんだだけですが、役に立っています。それからバンドエイドです。あれは絆創膏にガーゼをつけただけです。

【気付き】

P&G=プロクター・アンド・ギャンブルの話が出てきています。
パンパースなんかもそうですが、商品企画力から今使っている様々な商品が生まれているというのはすごく大事です。

パンパース、ファブリーズ、アリエール、ジレットなどなど・・。
そして商品開発が、「例えば綿棒。マッチ棒に綿をくるんだだけですが、役に立っています」ここも、目新しいことではなく人が気付いていないことの有用性があります。

加藤久<京都>京都サンガFC 監督

「それは。あなた、人間が未熟だからです。人間を鍛えないとだめなのです」

【気付き】

サッカーで有名な加藤久さんですが、サッカーも技術ではなく「人」
が大事。人を磨く、それによって結果もついてくる。強い高校もチームもやっぱり人を磨いている、そう思います。