[盛和塾] 機関紙マラソン 108号

[盛和塾] 機関紙マラソン 108号

塾長講話「困難に打ち勝つ」

社員の意識が良い方向に変われば、会社の業績も向上していきます。
つまり、このJALの再建は、私がいつも申し上げ、この盛和塾のモットーともなっています「心を高める、経営を伸ばす」ということの格好の証明になったのではないかと思います。

この「フィソロフィ」には、大切な四つの要素が含まれています。
一つめは、「社会の模範となるべき規則、約束事」です。
二つめは、「企業が目指すべき目的、目標を達成するために必要な考え方」という要素です。
三つめは、「企業に素晴らしい社格を与える考え方」という要素です。
それは「人間としての正しい生き方、あるべき姿」を示すという要素です。

妻ひとりでも私を信じ、どこまでもついてきてくれるなら、私は絶対に垂直登攀をやめまい、どんな困難があろうとも貫いていくと心に決めました。
そのときが、「垂直登攀」という考え方を私が明確に理解し、人にも言い始めた最初の機会なのです。

もう一つ大切なことがあります。それは、「知識を見識にまで高め、見識を胆識にまで高める」ということです。

【気付き】

垂直登攀、は塾長の造語なのでしょうか。すごくしっくり来ますしいい言葉です。
経営者は孤独で悩むことも多く、想像以上に責任負担もあって、日々心身が大変な仕事です。
ただその中で、絶対におれはこれでやる、という筋を通すことができたら、後は塾長でも奥様一人でも
信じてついて来てくれたら折れない、と思います。

しんどいことから逃げても結局だめ、継続した努力と勤勉な日々が成功には必須、そして
そのことを自分だけでなく社員や仕入先にも要求せざるを得ないのですが、その全部を
垂直登攀、だと思うのです。

経営者として10年やればやっぱり知識も見識も胆識も多少は経験が増えます、
自分がわかり理解し失敗したからこそ「自分は絶対この道でやる」強い意志が一本たちました。

経営体験発表 小林武彦〈東京〉医療法人愛生館 理事長

こうした状態をつくったあとで数字の話を始めました。それも「家計簿経営」というかたちでしていきました。

稲盛哲学の教えを「素直に実直に行動に移した」結果が、今回の受賞に繋がったと理解しています。
「愛生館フィロソフィの作成」「フィロソフィの浸透・コンパ」それから「家計簿経営の導入」です。その他に、稲盛塾長の「立ち居振る舞い」をまねる努力をしています。

【気付き】

家計簿を作ることはみんな普通にするのだから、それなら家計簿を作るくらいの小さな組織で
しっかりを数字をみよう、そんな部分からアメーバ組織が生まれ、という話を学んでいますが、まさにこれだと思います。

病院という組織でもまずは小さな集団から、採算をあわすことと医療は矛盾しません。
段階をしっかり経ながら「スタッフのものさしに合わせて」進める、そしてそうすれば可能なのだと。

平井浩一郎〈熊本〉株式会社ヒライ 代表取締役

特にK社、R社、Y社など日本を代表する惣菜の会社を徹底的に勉強研究しました。おかげさまで徐々に力がつき、現在では食品売り場における当社惣菜の売上構成比は10%(全国平均は78%)を超えるまでに成長し、全国でもトップクラスの成績を修めています。

いわば、ただご飯を炊いてご飯を売るという商売なのです。それが商売になるというのが驚きです。

どんどんライスも年間の売上が三十一億円と大きな規模の会社になっていて、食堂や寿司屋がどんどんライスから酢飯や炊きたてのご飯を買って商売しています。

【気付き】

ネギを切っておろすだけで数億円、という企業を前に知りましたが、ご飯を炊いてお届けで数十億円になる、
実に経営の妙味を感じます。経営も仕事も創意工夫の玉手箱です、素晴らしいなと感じました。

馬渕健司〈大阪〉太陽ファスナー株式会社 代表取締役社長

「人生の目的は魂を磨くこと。一つのことに打ち込み、それを長年続けることで平凡な人間を非凡に変える」とおっしゃいました。

みんな華やかな仕事をしたいと思いますから、細かいもの、金額の張らないもの、汗まみれ油まみれでつくらなければならないものは好みません。
しかし、そういうところにこそ商売の醍醐味があるのかもしれないと、お話を聞きながら思いました。
人がやりたがらないもの、人が興味を持たないものに全精魂を込めて展開していけば、素晴らしい経営ができるということです。

ビジネスになるのかと思うようなネジやナットをつくり、すばらしい業績をあげています。
ビジネスに貴賎はありません。よい仕事、悪い仕事というものもありません。それをよい仕事にしていくのが経営者の器量であり、責任なのです。

【気付き】

ビジネスに貴賎はない、必ず誰かの役に立っている、これはネットの仕事をしているとたくさんの方にお会いするので
よく感じます。ちょっと関係ない話ですが、天体望遠鏡を製造している会社なら、「星を見る楽しさをみんなに」とビジョン決めた瞬間に
販売も行えば、イベントも行えば、子供たち学校に社会科見学にも企画組めば、などなって、その結果として
天体望遠鏡が売れていく、そんな企業に進化していく、そんな企業に変わった話を聞きました。

これが経営者が、仕事に魂を吹き込み使命を与えることなんだろう、と思いますし、トップしか出来ないこと。
クレアネットも、ITやwebを通じて顧客を元気にすること、とビジョン出してますが、「元気になる」こと重視するので、
打ち合わせや会話や発想を通じて「元気に」できないなら価値が少ないんです、としています。

河越晴皓〈山陰〉寿スピリッツ株式会社 代表取締役社長

先輩塾生の方の「ここにいるみなさんが少しでも良くなることを願って発表しなさい」とのアドバイスを思い出すと不思議と心が落ち着き、

すると「社員はがんばってないよ。あなたがだめなのは事業の方針、内容ではなく、社員を本気にさせていないことだ」と言われたのです。お言葉がずしんと心に響きました。

私の時計は文字盤がこのツイてるシールのツイてる時計です。私は「ツイてる音頭」という歌を作詞作曲までしました。ですからシンガーソングライターでもあります。

【気付き】

寿スピリッツさんは現在、売上高37,385百万円、営業利益5,012百万円、当期利益3,533百万円、自己資本比率69.5%、
素晴らしい経営をされて一部上場企業に鞍替えされています。

「ツイてる」言葉の説明は少し面白いのですが、それくらいに社長さんがされていると
自然と社風もみんなも楽しくなってくるものだと思います。そしてその楽しさがお菓子をお届けするスタッフさんへの
影響と変わって自然とうまくいき、リピートが増える、なんかそんな感じになるような気がします。

この社風というか雰囲気というか目には見えないけど明らかに存在する、
組織を作る空気感こそがすごく大事であって、これがフィロソフィーで成り立っているような、何かそんな感じがします。

本 昌康〈石川〉株式会社ぶどうの木 代表取締役

「あなた方の会社には従業員が何人かいるでしょう。その人たちは少なくとも小学校や中学校は出てきているはずです。それは税金で賄われています。
」道路も鉄道もみな税金でつくられているのです。
経営をして利益も出せず、税金も納められないならば、それらの従業員や設備を、利益を出せる経営者に譲るべきです。
そのことで納税が進み社会は良くなるのです」

本来すべての利益を社内に残し、投資の準備をしなければならないのです。
それは従業員に、みなさんのがんばりで今期はこれだけの利益が出たが、
将来このような投資をせねばならないので今は賞与を出せないが我慢してくれと語らねばならないのです。
あなたの考え方は小善でしかないのてす。賞与を出せば従業員は良い社長だと喜んでくれるでしょう。
それでは駄目なのです。会社の未来を、従業員の将来を深く考えたときには、いま我慢してくれないかと頼まねばならないのです。
それが大善なのです。大善をなす勇気を持たねばなりません

あなたのような計算をすると従業員が三割、会社が三割五分、これではほぼイーブンとなります。
これを大盤振る舞いと言います」

私がいつも話しているように、会社というものは意思を持っていません。無生物です。
その無生物に生命を吹き込むのが経営者です。ですから経営者は、まず経営者個人である前に、
無生物である会社の意思を表明しなければなりません。

結論は「みなさんのお役に立つこと」、これ以外に私が壇上に立つ意義はない。
それも最近入塾された塾生のみなさんのお役に立ちたい、それが使命だと思ったのです。

【気付き】

小善と大善の考え方です。
賞与をたくさん出すことは小善。
会社に生命を吹き込むのが経営者。私自身も塾長の言う経営者にはまだまだなりきれていません。

藤田 覚〈播磨〉株式会社フジタ精米人 代表取締役

塾長の語録を一つひとつ思い出し、さらなる肉付けをして復興していく過程のイメージを膨らませていきました。
「もうダメだというときが仕事のはじまり」「自ら燃える」「強烈な願望を心に抱く」「誰にも負けない努力をする」
「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」数々の塾長の教えが私に一つひとつ勇気を授けてくれました。

【気付き】

事業を復活させるときのエネルギーですが、いろんな経営者さんの行動見ても
行動力と意欲が全然違います。そして取引先とか金融機関の巻き込み方も。

「もうダメだというときが仕事のはじまり」と知っておかないと焦るのですが、
知っていると、この状況は前にもあったし適切な対処を行おうと対処も出来ます。

普段調子いいと気づかない、けど、ピンチのときにようやく気付く、
だから日々勉強が必要だと感じます。

小嶋享子〈京都〉日本クリニック株式会社 代表取締役社長

「私はたった一人で切り抜けてきたわ」という、自分の離婚体験からなる免疫力が備わっていたのだろうと思います。

全社一丸努力の結果、二〇〇五年十二月七日に、債権カットなしの方針で認可された八年の計画案を、五年前倒しにした三年間の100%弁済で更生法下離脱を果たし、

その翌年度から、私は当社代表取締役社長に就任いたしました。

【気付き】

読んでみて感じたのは小嶋様の強さです。
会社更生法などの中で自分の精一杯を貫きそして社長就任、建て直しになるまで想像つかないハードな面があったはず。

燃える闘魂、経営には必須ですが、たぶん燃えたぎる闘魂があったのではと思います。

繊細で優秀な人はたぶん多くいるんでしょうが、燃える闘魂ある強い人、はそういません。規模の大きな、そして
ご経歴などいろいろ聞く中で「この人は強い」という方はやっぱり大成してる、そんな印象を感じました。

ついでにいろんな人と関わって今も仕事していますが、社内でも社外でも「繊細で優秀な人」よりも
「強い(何がと言われると抽象的ですが)人」は成し遂げます。自分も繊細で優秀な人なんかは探せば周囲にいるので
そんな人よりも強くなりたい、と思います。

マラソン日々走るのも心身の強さを鍛えるため。経営者さんマラソン、トライアスロンされる人多いですが、やっぱり強い。