三方よしの話で好きな話

写真は「まゆ」です。

三方よし、は、近江商人の伊藤忠兵衛さんから始まったと言われていますが、近江商人の考え方です。売り手よし、買い手よし、世間よし、というみんなよくなるようにご商売はしないといけないという発想です。

この三方よしの話で好きな話があります。

ある近江商人が富士山のふもと、今の山梨県あたりの甲斐の国にご商売に出かけた話です。甲斐の国は平野でもないのと富士山の噴火などもあってあまり肥えた土地でもないので、農業があまりできず貧しい暮らしをしていたということ。そこで、農業ができないのなら蚕(かいこ)を飼って製糸のつくり、糸の卸をすれば、いずれ衣服の反物の需要も増えて豊かになるのでそうすればいいんじゃないか、と勧めたそうです。

最初は半信半疑でしたが、なんとかなんとか蚕の飼育もうまくいくようになって来て、近江商人の言うように糸がたくさん作れるようになってきました。

そこで近江商人はその糸を買って、京都で着物を作ったそうです。甲斐の糸で作った反物は品質がいいと評判にもなり、京都でも人気になりました。京都で住民もちょっとした贅沢で着物を着るようになり、また、土地が貧しかった甲斐の国では糸が売れるので貧しい生活をしていた農民も助かったという話です。

甲斐の国と京都を結びつけて両方を幸せにした近江商人、そして、自分ももちろん幸せになった近江商人。商人かくあるべき、という話です。まさに三方よし。

みんなが良い方向になること、これは大原点。いつもいつも近江商人のようにうまくいかないのが現実でも、そういった方向を目指すことは大原点。
ただこの話を聞くと、聞く人聞く人微妙に違うけど、甲斐の国だったり、静岡だったり、御殿場あたりだったり、まあええか。

関連しているブログ記事一覧